パスピエ/まだら コードと感想
お、パスピエが新曲出してる、くらいの思いで聞いてたら（いい意味で）パスピエらしくない曲だったので簡単に採譜してみた。短調の曲、初出じゃないか？ （more humorに何曲かあった）
以下気になったポイントを羅列した。
パスピエ - まだら
www.youtube.com（mvが公開されたので差し替え）
イントロ
聴き始めて数秒で出てくるDmaj7。この1小節だけ半音転調しているのか、F#minorからの借用なのか、音楽理論に自信がある人がいたら教えてほしい。普通に考えればG m7-5（か奇を衒うならA♭6でもよいか）で同じフレーズが繰り返されると思って聞いていると、思いも寄らず半音あがることでめちゃくちゃ不安感が駆り立てられる。すごい。
サビ
あ、よかった普通の進行だと思っていると、最後のE7がめちゃくちゃ浮いて聞こえる。ミという音自体は、Fのハーモニックマイナーで登場する音だし、その前の歌メロでもしっかり歌っているので大きく違和感があるわけではないが、ミラ♭シレという響きになることで進行からは外れて感じる。歌詞も「求めたら壊れるの」だし、壊したかったのか。理論的にはどういう扱いなんだろうか。
なんとなくベースも採譜してみたが、結構エロい動きをしている。歌メロがストレートなリズムで歌っているのに、めちゃくちゃスウィングしてる。3〜4音目の11度の音のB♭に飛んでからA♭みたいな動きは私もよくやるけど、一瞬響きに深みが出てとてもよいよね。
Verse
Fメジャーだ！同主調転調？次のコードではもうマイナーに戻っている。こういう一瞬の変化がテーマなのだろうか。譜面は2回し目だが、1回し目では急に三連符でディミニッシュドスケールが出てきたりしてる。
そして2サビにつながるEmaj7。初めて聞いた時はレ♯！？ってなった。なんだこれ。今までは普通にE7だったのに。
Bridge
このパートは、平行調のA♭メジャーに転調しているのか。とはいえ、ギターとピアノが半音移動を散りばめた不穏な旋律を奏でているし、芯から明るい印象は感じさせない。ピエロが笑ってるみたいなイメージ。サイコパス感。
特筆すべきは、B♭のハーフディミニッシュセブンスとE6。B♭のハーフディミニッシュセブンスは下からシ♭ミラ♭レ♭。E6はミソ♯シド♯。どちらも癒しが強すぎる。B♭m7、Eでもいいところを一音半音下げる、加えることでこんなにも響きが変わる。
ラスサビ前
今まで出てきたサビ前のE「maj」7はこの転調の仕方の伏線だったのか！？うまく理解できていないが、E7だとこんなスムーズな聞こえ方にならない。E♭/GからG♯マイナーにまで転調するのかと思いきや、Gマイナー止まりなのもめちゃくちゃよい。盛り上がりすぎないというか、盛り上がりたい気持ちが収束されるような感じがする。
全体を通して
タイアップとなっている漫画は読んだことなくてあらすじを調べただけだが、人間の二面性というか不意に出る狂気性とかそういうものが、「まだら」という曲名の通り、入り混じって形成されている様を表現しているようにも思うと、本性を隠しながら日々を生きているとか確かに全体的に靄がかかっているようなサウンドであるし、人間のバイオリズムにブレがあるようにドラムのリズムもスウィングしたりしなかったり、ピアノのチューニングも若干ブレているように感じる。そういった要素が繊細に重なっていて、それでいて歌モノとして成立させている（いい意味で）音大卒っぽい計算高い曲になっているなと思いました。
※MIDIで音をとって、それを譜面ソフトに流し込んでいるので、雑な部分が多くあるが許してほしい。特にベースのタブ譜については、私がベースを弾けないため、弦の位置はかなり適当に配置している。
ちなみに最近のパスピエで一番好きなのはオレンジかな。YMOを彷彿とさせるシンセパッド、Aaugの使い方…東風を聴きたくなる。
